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【新型TEST&RIDE】ホンダ・クロスカブ110(JA45)インプレッション!

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  • 2019.03.01

ビジネスバイク派生のフィールドバイク、クロスカブ。50ccと110㏄がラインアップされ、静かに着実にアウトドアなライダーに浸透を続けている。アウトドア用品のような機能性、走ると想像以上に感じる満足感。小さいのに貫禄たっぷり。今一度人気の秘密にせまる。

日常を冒険感覚に。妄想はもっと特大で良いはず。

クロスカブがもたらす気持ちの広がりを探して。

  • 使い古された表現だが、ニッポンにスーパーカブを見ない日はあるのだろうか。

未明の新聞配達に走り回るエンジン音に始まり、朝に学校や仕事場に急ぐ人が走る。昼には出前持ちが先を急ぐ。田んぼや畑の様子を見にあぜ道を走ったり、駐在所の軒先にパトロール用の「白カブ」が置いてあることなどだれも気にとめないほど日常の風景だ。


 そのカブは2018年に誕生から60年の節目と、総生産1億台を突破した。ビジネスバイクなんて言われるが、事務用品的ではなく、むしろ天気が悪くたって遊びに行きたくなる不思議な魅力を持つこの世界の名車ときたら、初号機から各部が進化はしてもパッケージングを大きく変化させずに作り続けられている。


'60年代初頭アメリカへの進出を開始したホンダが仕掛けた一大キャンペーン、「YOU MEETTHE NICEST PEOPLE ON A HONDA」でライフスタイルを彩るバイクとして描かれたのが何を隠そう、カブだった。通学に、スポーツに、アウトドアへの足として、友達と愛犬と出かける足として、カブの用途は無限大だ。


 その流れをくむように1963年にはハンターカブの名前で文字通りハンターの足となって山道を走る装備を充実させた仕様が登場。その後、CT90、CT110となって世界の人に愛されているのはご存じの通り。ここに紹介するクロスカブ110は、まさにそのハンターカブの流れをくむ一台だ。

トルク型だがしっかり高回転まで伸びるエンジン。燃費の良さは評判。ステップは可動式。黒仕上げのキックスターターを備えるのも特徴。

アップライトなライディングポジションとなるハンドルバー。幅はそれほど広くなく、狭い路地でもスイスイ走る才能はスーパーカブ同様。

  • 2代目となったクロスカブ

クロスカブという名前になって2代目となるこのモデル、2018年の2月発売だから、ちょうど1年が経過したことになる。初代クロスカブ同様、ベースがカブであることは同じ。ハンターカブ時代に採用されたパイプハンドルなどを装備し、リアキャリアもがっしりしたものが装備される。また、林道などちょっとした悪路はもちろん、河川敷の釣行にも頼もしい足回りを持っている。



タイヤもブロックパターン。先代ではレッグシールドを装備していたが、ハンターカブの流れからレッグシールドを省いたすっきりしたデザインになったのも新型の特徴だ。ハンターカブの象徴的なディテールの一つ、エンジンからリアキャリアへとキックアップするマフラーは今回も採用されていないが、ライダーの足元が広くなることなどこれはこれでメリットがあるパッケージだ。エンジンバリエーションは50と110が用意されている。50モデルは前後14インチホイールを履く。110モデルは従来通り前後17インチを履くのが特徴だ。

新型のエンジンはさらに環境性能を高め、シフトペダルの動きを滑らかにするためベアリングを封入するなど細部まで質感にこだわった設計だ。また、シリーズでははじめて採用されるエンジンオイルから細かな異物を漉すオイルフィルターを装備することもニュースだ。もちろん、耐久性をさらに高め、信頼性もあげるためだ。また最終アッセンブルラインを熊本工場で担うなど、細部までしっかり作るという意識の高さも嬉しいところ。



 赤い車体と黒いラゲッジキャリアやホイールリムが醸し出すスポーティーな出で立ちはクロスカブの活発さを予感させる。それでいて、おなじみの姿であることには変わりなく、ほっとする面もちゃんと残っている。スターターモーターは装備されるが、がっしりとしたキックスターターのペダルがあることで、何があっても大丈夫、という気分になり、「よーし!行くか。」と心で一声出してから走り出す。



 空冷OHC2バルブヘッドのエンジンはフライホイールマスをしっかり取った印象で、カブ一族同様、鋭いレスポンスよりも図太いトルクを予感させる回り方だ。トランスミッションは自動遠心クラッチを採用した4速リターン式。クラッチレバー操作なしでシフト操作ができるのは60年以上続くカブの伝統だ。このリターン式のシフトには秘密があり、例えば3速で停止したと時、停車時ならば3→2→1→ニュートラル、と踏み込むだけでニュートラルへと落とすことができる。簡単なのだ。シーソータイプのシフトペダルなので、靴底で踏むことでシフト操作ができ、一般的なリターン式のバイクのように靴のつま先が痛むこともない。

全長の長いショックユニットを使いストロークを稼いでいる。ブロックパターンのタイヤとブラックリムの足回りがタフ感を演出する。

最新のカブシリーズはオイルフィルターを備えることで耐久性、信頼性をさらに高いものへとしている。ブレーキペダル右側にあるのがそれ。

  • 110は余裕の走り、旅に出たくなる相棒

1速に入れてアクセルを開ける。力強い蹴り出しでクロスカブは走り出す。ローギアードな分すぐに2速へとシフトをする。このとき、シフト後、回転が少し落ちるまで待って右手をひねるとスムーズに走ることができる。右手とシフトする左足の連携がとれたとき、クロスカブはスムーズかつトルクフルな途切れ感のない加速をする。40キロで4速に入れてもアクセル一つで加速感を楽しみながら走れる力感は「ホントに110?」と思わせるもの。50キロ、60キロでの巡航も余裕。むしろ、40キロ台の速度を4速でこなす時の貫禄ある走りは小排気量とは思えない逞しさだ。


 見た目からするとブロックパターンのタイヤはゴロゴロした走行感を生みそうだが、乗り味はとてもスムーズ。交差点からツーリングまで快適なハンドリングと乗り心地を提供してくれた。前後ともドラムブレーキだが、必要にして十分。オプションのタンデムシートを取り付ければ二人乗りも可能な110だが、それを想像してもきっちり速度を落とし、止まるコトができるだろう。つまり、走ることに対してどこにも不満がないのがクロスカブの特徴といえる。

2輪というカテゴリーを考えたらカブ以上に大きなリアキャリアを備えたバイクはそうはない。YouTubeをカブ、ツーリングで検索すれば山盛りの荷物を載せ遠出をするカブ乗り達が織りなす旅ものがいくらでも見られる。彼らのように生活道具一式を載せてどこに行こうか妄想しながら田舎道を走ってみる。


これまた有り体な話になるが、日本橋から国道1号を西に向かい、2号、3号へと乗り入れ、九州の佐多岬へ。はたまた、東海道を浜松あたりまで走ったら渥美半島に入り、伊良湖から英虞湾を越え、紀伊半島へ。この巨大な半島の山深い風景を横切り、和歌山から海を越え徳島へ……。どこへでも行けそうな気がしてくるから不思議だ。もちろん、今回クロスカブで訪れた房総半島だって大冒険だ。



 クロスカブの魅力は実際に走っても、そうした世界感がしっかりあることだ。一日で移動できる距離よりも、一日でどれだけの風景を楽しめるのか。その尺度で考えると、これほど有能なアドベンチャーバイクは無いかもしれないのだ。

メーター回りの視認性は抜群。ちょっと存在感ありすぎにも思えるが、メーターパネルまで専用のデザイン。燃料計も備わり機能的だ。

シート下に燃料タンクを据えたパッケージもスーパーカブ同様。タンクキャップはキー付き。燃費が良いので出番は多くないかもしれない。


■Honda クロスカブ110(2BJ-JA45)主要諸元

●全長×全幅×全高:1,935×795×1,090mm、ホイールベース:1,230mm、シート高:784mm、最低地上高:157mm、車両重量:106kg●エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、排気量:109cm3、ボア×ストローク:50.0×55.6mm、最高出力:5.9kW(8.0PS)/7,500rpm、最大トルク:8.5N・m(0.87kgf-m)/5,500rpm、燃料供給装置:電子制御燃料噴射(PGM-FI)、燃費消費率:61.0km/L(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)、66.7㎞/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)、タイヤサイズ:前80/90-17M/C44P、後80/90-17M/C44P、ブレーキ形式:前機械式リーディング・トレーリング、後機械式リーディング・トレーリング、フレーム形式:バックボーン●メーカー希望小売価格:334,800円


■試乗:松井 勉 ■撮影:松川 忍

■協力:ホンダモーターサイクルジャパン 

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